平時からの地震対策

設備

  • 透析用監視装置のキャスターは、ロックしないでフリーにしておく。
  • 透析ベッドキャスターは、床面に固定しないでロックだけにしておく。
  • 透析液供給装置とRO装置は床面にアンカーボルトなどで固定しておく。あるいは免震台に載せておく。
  • 透析供給装置およびRO装置と機械室壁面との接合部は、フレキシブルチューブを使用しておく。

スタッフ教育

  • 施設独自の災害対策マニュアル作成
  • 災害対策の原則、CSCATTTをスタッフが理解し、役割を確認しておく。
  • 防災訓練・避難訓練の実施
  • 緊急離脱の方法
  • 避難経路の確認
  • 消化器の場所と使用方法の確認
  • 震度6以上の地震発生時では自主的に出勤することが原則であること

患者指導

  • 透析中に地震などの災害が発生したときの心得や行動に関する指導
  • 非透析日に災害にあった場合の心得や行動に関する指導
  • 緊急離脱や避難方法などの確認

自施設で透析ができなくなった場合に備えて

  • 他施設に支援透析を依頼する場合に備え、患者情報・透析条件などを、停電になった場合でも持ち出せるように紙媒体でまとめておく。
  • 自施設の患者の住所、連絡先(複数)、避難場所、自立度(介護度)を把握しておく。
  • 患者移送方法の検討
  • 支援透析の施設にスタッフを派遣し、患者情報を提供しつつ、透析の実施もしくは手伝いを行うこととなるため、人選を行なっておく。

地域で災害を乗り越えるために

  • 近隣で災害が発生し、自施設が被災していない場合、透析患者の受け入れを検討ください。平日、夜間などどの程度受け入れ可能であるか、事前にシミュレーションしておく必要があります。

透析中に地震が発生した場合の行動

  1. まずスタッフが落ちつくこと。揺れが続く中での救助活動は、危険なだけなので、揺れている最中は、まず自信の安全を最優先する。
  2. 揺れが収まると同時に患者の精神的動揺に対処する。パニックになり、立ち上がったり自己抜針などしたりする患者が出た場合、そのような人から対処する。
  3. 安全に透析を中止する。電気がある場合は、返血回収を第一選択とする。停電や余震などで返血回収が困難な場合は、抜針ベルト止血、離脱用血液回路による離脱、穿刺針キャップによる緊急離脱など返血回収以外の方法をあらかじめ準備しておく。
  4. 火事や建物の倒壊、海辺での津波の危険が迫っている場合などを除き、避難しない方が安全である場合が多い。避難すべきかどうかを、スタッフ間で検討する。
  5. 災害対策本部、もしくはリーダーを決め指揮系統を確立する。災害後の透析が可能かどうか判定するための情報を収集する。

代替施設に透析を依頼する場合

  • 被害が大きく、他施設に透析を依頼する場合、地区の基幹病院に直接電話で報告し、災害情報ネットワークに書き込みをする。(災害時透析の情報伝達の項参照)
  • 患者情報や透析条件を持ち出すための準備を行う。
  • 患者と連絡をとり、安否の確認、避難場所などを確認する。
  • 患者の割り振りが決まったら、代替施設との連絡をとり、患者情報や透析条件を提供し、移動手段や透析を行う時間帯などを相談する。
  • 患者に、施設の被害状況や代替施設を連絡する。

地震発生時に職場にいなかったスタッフの行動

  • まずは自分と周囲の人の安全確保をする。
  • 震度6以上の地震の場合は、呼び出しがなくとも、出勤可能な場合は自主的に職場にかけつける。
  • 夜間や日曜に災害が発生した場合は、機械設備担当者は、翌日からの透析業務に影響がないか調べるため、できるだけ早く出勤する。

CSCATTT(スキャット)

災害対策の基本の考え方。CSCAは災害医療を実施するための組織作りについてのキーワード。CSCAを確立することで、TTTが有効に機能する。

C = Command and Control | 指揮命令(系統)と連携
S = Safety | 安全
C = Communication | 情報収集と伝達
A = Assessment | 評価
T = Triage | トリアージ
T = Treatment | 治療
T = Transport | 搬送

参考文献